第1回 英語で論文を書く際に注意すべき冠詞「contribution」
当社では英語のネイティブスタッフによる論文の添削・校正サービスをご提供しています。
日本人の学生さんが執筆した英語論文では、冠詞の使い方に対してネイティブのチェックが入ることが多く、ほぼ100%の割合で冠詞のミスが含まれていると言ってもよいほどです。
このコラムでは、英語論文の執筆にあたって日本人の学生さんが間違いやすい冠詞の使い方をご紹介していきたいと思います。
◆今回は「contribution」という単語に注目してみましょう。
「contribution」といえば、「貢献」という意味で使うことが多いのではないでしょうか。 日本語で「貢献」というと、抽象的な概念なので不可算名詞として考えてしまうかもしれません。
実際、日本人の学生さんが書かれた論文の中で「…makes great contribution」のように冠詞がついていない表現がよく見受けられます。
しかし、この「contribution」という単語は基本的には可算名詞だと考えてください。
つまり、「ひとつの貢献」または「一度の貢献」を表したい場合は「a contribution」という単数形、「複数の貢献」や「複数回の貢献」または「さまざまな貢献」を表したい場合は「contributions」という複数形になります。
▶John made many positive contributions to society.
(ジョンは社会に多くの積極的な貢献を行った)
→「contributions」(複数形)は、複数の貢献や複数回の貢献またはさまざまな貢献を意味します。
なお、上の文を「a positive contribution」という単数形で表すと、 ジョンが行った貢献を集合的なひとつのものとして捉えていることになります。
「contribution」は「a positive contribution」のように形容詞で修飾することが多いのですが、以下の形容詞を使うことで、どんな「contribution」かを表現することができます。
a great contribution/great contributions
a huge contribution/huge contributions
an important contribution/important contributions
a major contribution/major contributions
an outstanding contribution/outstanding contributions
a positive contribution/positive contributions
a significant contribution/significant contributions
a useful contribution/useful contributions
a valuable contribution/valuable contributions
a substantial contribution/substantial contributions
※単数形を使うか複数形を使うかは文脈によって判断します。
また、「contribution」は「寄付金」という意味でも使うことができ、この場合も可算扱いです。
▶John made a 50-dollar contribution to a political party.
(ジョンは、ある政党に50ドルを(1回)寄付した)
複数回に渡って寄付を行ったなら、「made contributions」という複数形になります。
最後に一点だけ注意していただきたいことは、基本的には可算扱いになる「contribution」ですが、
「contribution」という手段を示す場合は不可算扱いになります。
▶The money was raised by voluntary contribution.
(そのお金は自発的な寄付によって集められた)
「I went to Tokyo by train.」や「Can I pay by credit card?」、“I’ll send it by email”のように様々な手段を表すときに冠詞がつかないのと同じように考えることができますね。