第2回 可算・不可算が紛らわしい単語 「import」と「export」
このコラムでは、英語論文の執筆にあたって日本人の学生さんが間違えやすい冠詞と単語の使い方を
ご紹介します。
◆今回は「import」と「export」という単語に注目しましょう。
「import」は「輸入」、「export」は「輸出」という意味の英訳として使うことが多いかと思います。
日本語の「輸入」と「輸出」という言葉は、一つ、二つのように数えられるものではありませんので、「import」と「export」という単語も不可算名詞だと考えるかもしれません。
では、ここで以下の例文を見てみましょう。
▶ Cars are one of Japan's main exports.
上の文では「export」が「exports」という複数形になっています。もし「export」が不可算名詞だとすると、
複数形になることはありませんね。それでは、「exports」とは一体どんな意味なのでしょうか?
実は「export」という単語を可算名詞として使うと、次の意味になります。
①輸出品またはサービス
②輸出量、輸出額
つまり、上の例文中の「exports」は「輸出品」という意味で、
「車は日本の主要な輸出品のひとつである」という意味になります。
「export」を可算名詞として使う場合、例文のように通常、複数形(exports)になります。
▶ Over the past year, there has been an increase in tea exports.
(ここ一年、お茶の輸出量が増えている)
▶ Exports to France increased last year.
(去年、フランスへの輸出量が増えた)
日本語では「"輸出"が増えた、減った」という表現もしますので、「in tea export」や「export to France」のように不可算扱いにしたくなるかもしれませんが、英語では例文のように複数形「exports」で「 輸出量が増えた、減った」と表現します。
同様に「import」という単語も可算名詞として使うと、以下の意味になります。
①輸入品またはサービス
②輸入量、輸入額
▶ This car is an import from Germany.
(この車はドイツからの輸入品である)
では、どんな場合に「import」と「export」を不可算名詞として使うかというと、
輸入や輸出という「行為」(=action)もしくは「過程」(=process)を示したい場合です。
▶ In India, tea is grown mainly for export.
(インドでお茶は主に輸出用に栽培されている)
▶ There are restrictions on the import of plants.
(植物の輸入には規制がある)
「for export」や「for import」のように前置詞の目的語として「import」や「export」を使う場合と、「the import of~」や「the export of~」という形で「~の輸入、~の輸出(する行為)」という形をとる場合に不可算名詞になることが多いので覚えておきましょう。